【「“フツーの人”のまちづくりの学校」で作成したマイプラン】間違いなく人生のターニングポイントになった

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こんにちは。ヒラハタです。この記事では、「The Salon Times」ができた理由についてお伝えします。

タイトルにある通り、「The Salon Times」が誕生した背景には、まちづくりの学校で作成したマイプランがあります。自分が「何ができるか」「何をしたいか」を問い続けた結果、インターネットを通じて、高齢者サロンの魅力を発信していこうと考えました。さらに、高齢者サロンは十人十色の経験豊かな住民が集まっていることから、「地域の縮図」として捉えています。よって「The Salon Times」では、高齢者サロンだけではなく、地域の強みやニーズも含めて、そこに住んでいる住民のリアルを多くの人に届けたいことが原点です。

では、「The Salon Times」の原点になったマイプランですが、どのような場所で作り上げていったのか、説明していきます。

目次

”フツーの人”のまちづくりの学校 in 長崎

2022年6月、僕がまだ地域包括支援センター(以下、包括)に所属している頃、主催者である長崎県社会福祉協議会より、研修案内が届きました。まずタイトルに惹かれたことを覚えています。

ヒラハタ

”フツーの人”ってどんな人?
まちづくりのヒントみたいなものを教えてくれるのかな?

漠然と、そして他力本願な気持ちで、送られてきた開催要項を眺めていました。この頃の僕は、長崎県ヘルスケアサービス化促進事業で「ノルディックウォーキング×温泉×介護予防」のイベント企画・運営に携わったり、包括内の高齢者サロンへ、月1回の頻度で成年後見制度のミニ講座をしたりと、地域住民参加型のまちづくりに関わる楽しさを持って仕事をしていました。

しかし、心の中ではもやもや…。なぜなら、住民主体と言っておきながら、支援者としての専門性を前面に押し出した企画だったり、ワイドショーやバラエティで「自筆証書遺言」や「成年後見制度」などをセンセーショナルに放送されていることを謳い文句に、少しでも耳を傾けてもらえるような講話やイベントを開催していたような気がしていたからです。そんなまやかしみたいな取り組みは、当然、地域住民からは相手にされない。そもそも自分が地域にどう役に立てられるのか、どんなビジョンで地域住民と協働したいのか、目的も曖昧なまま進めていました。

丁度もやもやを抱えていた頃に、「”フツーの人”のまちづくりの学校」というエモいタイトルに、引き寄せられた感じでした。いや、自分が実行しているまちづくり・地域づくりのようなものの方向性がわからなくなり、藁にもすがる思いで応募したのが適切な表現なのかもしれないと、今になって思い返します。

講師による世界観に面食らう

まちづくりの学校の講師をされいる、竹端 寛 先生と尾野 寛明 先生は、控えめに言って「個性的で魅力的な」先生です。独特な世界感を持っているように僕には映っています。さらにお二人とも別々の個性を放つから、良い意味で眩しくないというか、お二人の対話の中でうまく調光が取れているので、お二人の掛け合いや受講生に向けられる問いかけを受けながら、受講生としてのやるべきことに集中できる環境が整っていたのだと思います。

竹端 寛 先生

竹端先生

福祉の人たちは、ご本人やご家族などの”支援対象者”を「主体」にして考えることが多い。もっと「自分語り」をしてええんちゃうの?と。

兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。
編著『自分たちで創る現場を変える地域包括ケアシステム:わがまちでも実現可能なレシピ』(ミネルヴァ書房)/著書『枠組み外しの旅-「個性化」が変える福祉社会』(青灯社)/著書『「当たり前」をひっくり返す』(現代書館)

尾野 寛明 先生

尾野先生

まちづくりのヒントとして「A×Bの発想」を大事にしてもらいたい。
既存のもの同士掛け合わせると、思わぬ相乗効果が生まれる場合も。

有限会社エコカレッジ代表取締役(島根県川本町)、総務省 地域力創造アドバイザー、島根リハビリテーション学院 特任教員・地域連携コーディネーター、デジタルハリウッド大学 非常勤講師(ソーシャルビジネス論)、NPO法人わがこと 副理事長(香川県高松市)など。
2001年、19歳の時に東京都文京区でネット古書店を創業し、2006年に本社をまるごと島根県の過疎地に移転。倉庫代が東京の100分の1になり、蔵書15万冊を超える。2020年に千葉県いずみ市にも倉庫がオープンし、赤字の三セク・いすみ鉄道を古本で支える「い鉄ブックス」事業を実施中。少子高齢化を支える担い手不足が放っておけなくなり、「普通の人」がまちに関われる仕組みづくりがライフワークに。地域で何かを始めたい人のための「地域づくり超入門塾」を全国20ヶ所以上で開講中。岡山県社協で実施した地域づくりの学校3年目までの記録を書き起こした「無理しない地域づくりの学校(ミネルヴァ書房)」の共著者。

講師×卒業生トーク

「まちづくりの学校の魅力」をテーマに、講師のお二人と卒業生とで、トークセッションを行いました。辿々しくてお聞き苦しいかもですが、僕も卒業生として、「まちづくりの学校」で学んだことを語らせていただきました。

僕のマイプラン

先にも述べた通り、まちづくの学校は「マイプラン」を作り上げることを目的の一つとしていますが、「マイプラン」を作り上げるまでの過程も大切にしている研修だと感じます。事前課題を作成し、研修当日に全体で発表。さらにグループワークで相互にフィードバックし合い、研修の余韻が若干薄らいだ頃に、講師や受講生からのコメントが届き、またやる気スイッチが入るという流れ。この過程の中で、自分にじっくり向き合う時間を作れたことは、今まで色々な研修を受けてきた中で初めての体験でした。

そのような試行錯誤を繰り返してきた僕の「マイプラン」をお示ししたいと思います。

僕が感じる地域の課題

地域包括支援センターで働いていた頃、高齢者サロンへよく見学や講話に行っていました。多くのサロンが、運動や脳トレを取り入れていました。具体的なメニューは下記のようなものです。

  • スクエアステップ
  • ストレッチ・軽い運動
  • 脳トレ(テキスト等を用いた穴埋め問題が多い)
  • レクレーションやゲーム
  • 手芸・編み物・工作など
  • 専門職による講話

他にも地域に特化した独自のメニューがあります。主に「介護予防・認知症予防」や「居場所づくり」を目的に、開催しているサロンが多い印象です。しかし、僕はある疑問を抱いていました。

ヒラハタ

いつも同じメニューで飽きないのだろうか?
若い世代が関心を寄せるサロンになれば、もっと生き生きと参加できるのではないだろうか

参加者がほとんど変わらないのも課題の一つです。同じメニューを繰り返すことでマンネリ化し、一部の参加者は飽きてしまい、参加しなくなることも少なくありません。そうなると、サロンの存続が危ぶまれてしまい、包括や社協の支援者が躍起になって崩壊を食い止めようとすればするほど、支援者の善意によって運営されることになり、支援者自身が疲弊してしまうことにもつながります。

もちろん、今のメニューを楽しみに参加されている方もいます。そのような既存のメニューを残しつつ、新しいメニューを追加して、さらにアップデートしながらサロンが広い世代に認知されるようになれば、試験的に斬新なメニューを取り入れるサロンが出てくるのかもしれない、と思いました。

自分は何ができて、何をしたいのか

まちづくりの学校で度々耳にする言葉がありました。それは「A×Bの発想」です。

尾野先生

全く新しい取り組みを思いつくのは、なかなか難しい。ならば、「今していること」や「できること」を”A”として、違う分野や興味があるものを”B”にして掛け合わせてみると、誰も思いつかなかった発想が生まれる場合がある。

この教えを僕のマイプランに落とし込むと、下記のような発想になりました。

「Webライターの私」×「社会福祉士の私」

今まで「自分語り」が少なかった僕だったので、思い切って主語を「私」にしました。そして「僕は何ができるのか」、加えて「何をしたいのか」を問い続けた結果、「Webライターの私」と「社会福祉士の私」を掛け合わせることに行きつきました。

Webライターの私

2023年でWebライター歴は4年になります。現在も続けており、主に福祉関係の記事を執筆しています。クライアント(発注元)から「こんなテーマで、読者ターゲット(ペルソナ)は誰で、読んだあと、読者にはこんな行動になってもらいたい」との依頼を受け、執筆を開始します。

書き終えたあとは色々な角度からフィードバックをもらい、クライアントの意向に沿った修正を行います。Webライターは文章力というより、リサーチ力とペルソナを意識して書き上げることがとても重要です。おかげで、専門的に書かれているサイトや文献でも、わかりやすく伝える能力は多少養われたのではないかと自負しています。Webライターの経験を通して、多くの方へ高齢者サロンを知ってもらいたいと思いました。

社会福祉士の私

2012年から社会福祉士になりました。社会福祉士を取得した頃は32歳です。社会福祉士になって、回復期専門の医療機関、介護老人保健施設、地域包括支援センターと経験を積んできました。併せて、長崎県社会福祉士会の副会長、社会福祉士会会員向けの研修講師(基礎研修Ⅰ〜Ⅲ)、ブロック別の事例検討会や各種イベントの企画・運営など、社会福祉士としての実践知を高めるだけではなく、職能団体の運営や活動を経て、社会における社会福祉士の役割についても知ることができました。

僕が実践している社会福祉士としての考え方(価値)は、課題にばかり着目するのではなく、その人や環境が持っている「強み」も見積もって、ニーズを捉えることです。よって、その強みを引き出すことが問われます。「ここがこの人の強みでは?」と感じた際は、一旦訊いてみる。イメージはボールを優しく投げる感じです。返答をいただいたら、また訊いてみる。語りのキャッチボールをしながら、その人の内外含めて知ることに努めます。

このような社会福祉士の専門性をWebライターと掛け合わせることで、ただ高齢者サロンへインタビューをするような文字起こし記事ではなくて、高齢者サロンが地域の中でどのような位置付けなのか、地域の縮図として捉えている高齢者サロンではいま何が起こっているのか、さらに高齢者サロンから発せられる地域のニーズについても、社会福祉士の専門性を活かしたインタビューで、リアルな語りを引き出したいと思います。

これがマイプラン

ここでは、僕が実際にまちづくりの学校で発表したスライドを掲載します。タイトルから順番にご覧くださいませ。

このマイプランを「組織のしがらみなく実現させたい!」と思ったあと、あっという間に社会福祉士事務所を開業するまでに辿り着きました。しかし、完全にしがらみから解放されることにはならない。なぜなら、人はどうしても、自らのポジショニング(縄張りとも言いましょうか)を大切にしているので、その枠や利益を超えて活動することは難しいと思うのです。そこを自覚することが大事で、だから僕はフリーランスというポジショニングを選び、少しでも枠を超えた活動へシフトしたいと考えました。

マイプランの実現に向けて

僕のマイプランを実現するのは、下記の手順が必要です。

  • 記事を掲載するためのサイト構築
  • 高齢者サロンなどへ現地取材
  • 記事執筆
  • サイトへ投稿

というわけで、まずはサイト構築から始めました。サイト構築にも多少なりとも資金が必要です。費用をどこから捻出しようか考えていた矢先、長崎県社会福祉協議会による「マイプランコンペ」にて受賞し、見事支援金を獲得することができました。

取材は必ず自分の目で耳で確かめる

「百聞は一見にしかず」とのことわざ通り、話を聞いただけではイメージがつきません。やはり、自分の目で見て耳で聞くことで経験として脳裏に焼きつき、その後の記事にもリアリティが生まれます。

現代はオンラインツール(zoomなど)を使って、距離を問わず誰とでも顔を見て話すことができます。しかし僕が高齢者サロンで感じたいのは、代表者や参加者の声だけではなく、サロンの息づかいや雰囲気、立地や周辺の環境、イベントの進行や工夫している点など、現地に出向かないとわからないことだらけです。

よって、多少距離があっても高齢者サロンへ向い、僕が感じ取ったものを可能な限り記事にして、読んでくださる方と臨場感を共有したいと思っています。読んだあとに「このサロンへ行ってみたい」と興味を抱いてくれるような記事を届けることが、「The Salon Times」の使命だと捉えています。

サロンだけではなく、地域にもスポットを当てていく

「The Salon Times」は、高齢者サロンに特化したWebサイトです。しかし、高齢者サロンだけを取り扱うわけではありません。僕の中で、高齢者サロンは「地域の縮図」だと捉えているので、サロンの取材を通して、地域のニーズを掘り下げたいと考えています。「地域の縮図」については、下記記事も合わせて読んでいただけると幸いです。

高齢者サロンに馴染みがない人でも、地域にスポットを当てることで、「この地域は知っている」とか「面白い活動をしている地域だな」と思ってもらえるようになり、やがてそれぞれの地域に対する「応援団」が形成されることを目指します。

将来的には「寄付」できるサイトを目指す

まだ妄想している段階ですが、「The Salon Times」を寄付が可能なプラットフォームにしたいと考えています。応援したいサロンや地域を選んでもらい、ワンクリックで寄付できる。そのような寄付システムができると、地域の活動がより充実したものに変わり、少ない予算でいつも同じメニューに取り組むことから抜け出すことができるのではないかと思っています。

あくまでまだ妄想しているだけです。ただ、単なる高齢者サロンの紹介サイトではなく、様々な取り組みができるサイトを目指していきたいですし、地域に支えられながら、「The Salon Times」を育てていければと思っています。

今回は「The Salon Times」が誕生するきっかけになった、僕のマイプランを紹介しました。「The Salon Times」の原点ともいうべきものです。今後、壁にぶち当たったり、悩みを抱えた際は、マイプランに立ち返るように大事に抱えつつ、皆さんに愛されるサイトに育てていきたいと思っています。今後も応援のほど、よろしくお願いします。


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応援してもらえると嬉しいです!

この記事を書いた人

平畑隆寛のアバター 平畑隆寛 ヒラハタタカヒロ

社会福祉士事務所 FLAT代表。アパレルバイヤーから社会福祉士へジョブチェンジした風来坊を自認。普段は成年後見受任や研修講師のほか、Webライターとしても活動している。月1回開催の、相談援助職が安心してモヤモヤを語れる場「Social Good Circle」を運営し、支援者のバーンアウト予防にも取り組む。「The Salon Times」では、記者+ライター+編集長の役割。

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