【Social Good Circle:案内】「解決しない」ことで見えてくるもの──2026年1月の対話から

こんにちは。Social Good Circleの共同運営者をしている平畑です。

前回のSocial Good Circleから2ヶ月が過ぎ、その間、僕は娘の卒業式と入学式、さらに僕自身の大学院入学に伴う手続き等でバタバタしておりました。この時期は寒さが和らぎ、心身ともに開放的な気持ちになりますが、同時にイベント続きだったり寒暖差と花粉症だったりで、体調がいまいち優れないもの。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

今回のブログでは、僕が入学した大学院で「対話」を研究テーマにしていることもあり、前回開催したSocial Good Circleをもとに、支援者が陥りやすい「解決しなければならない」という呪縛をベースに振り返りたいと思います。

先に「Social Good Circle」の申し込みをされたい方は、下記リンクよりお願いします。

支援は、一方通行ではない

Social Good Circleは、「支援者のもやもやをダイアローグする場」として位置付けしています。参加者同士はフラットであり、助言も否定もせず、ただ語り、ただ聴く。その前提のもとで対話が開かれていきます。

今回の対話は、「自分自身のケアとは何か」という問いから始まりました。支援者は日々、他者の語りを受け止め続けています。しかし、その一方で、自分自身の語りをどこかに置いてきているときはないでしょうか。支援者の声は、どこか後回しにされがちなのかもしれません。今回参加者同士で気づいた問いは、場の中に静かに、しかし確実に広がりを見せながら、やがていくつもの実践や葛藤と結びいていきました。

対話の中で印象的だったのは、「支援することが、同時に自分のケアにもなっている」という語りでした。ある参加者は、被害妄想の強い高齢者との関わりを振り返りながら、こう語られていました。

日々の中で繰り返される訴えや混乱の中で、決して簡単ではない関わりを続けていく。その過程で、休日に自宅を訪問し、一緒に物を探したり、小さな出来事に付き合ったりする中で、「ありがとう」と言われる瞬間がある。

日々繰り返される訴えや混乱の中で、簡単には関係が気づけない状況。それでも関わり続ける中で、ふとした瞬間に「ありがとう」と言われる。そのような出来事は、決して制度やマニュアルの中に位置付けられるものではありません。しかし、その「ありがとう」は、確かに支援者自身に何らかの感情をもたらしました。

自分がケアしていると思ったけど、実は自分もケアされていたのかもしれない。

この語りは、支援を「するもの」として捉えていた前提を揺さぶることとなりました。支援とは、一方向の営みではないということ。この関係性には、互いに影響し合い、揺れ動く関係性があるのではないかと。そのような問いが、対話の中で生まれていきました。

「解決しなければならない」という呪縛

対話の中で、繰り返し立ち上がってきたのは、「解決」という言葉でした。

支援の現場では、問題を解決することが求めらる場面があります。相談を受けた以上、何かしらの結論に導かなければならない。しかし、その思いが強くなるほど、いつの間にか「本人の意思」よりも「解決」が優先されてしまうこともある。その呪縛が強くなればなるほど、「語り」が置き去りにされていくことがあります。

ある参加者は、自らの実践を振り返りながら語りました。

かつては、「相談を受けた以上、解決しなければならない」と考えていた。しかしその結果、本人の語りを十分に聴けていなかったのではないかという違和感が残った。

その経験を経てたどり着いたのが、「解決するのは私ではない。選ぶのは本人である」という感覚でした。

もちろん、それがすぐに実践できるわけではありません。目の前の状況が切迫しているとき、リスクが高いとき、支援者として何らかの判断を迫られる場面は多くあります。だからこそ、この言葉は「正しさ」としてではなく、「問い」として対話の場に置かれていたように感じられました。

誘導なのか、支援なのか

対話はさらに、「支援者はどこまで関与してよいのか」という問いへと広がっていきました。

本人の意思を尊重するとはどういうことなのか。意思を尊重するとはいえ、すべてをそのまま受け取るだけでよいのか。それとも、これまでの関係性や語りの積み重ねから、「本当はこうしたいのではないか」と読み取ることも含まれるのか。そのときに、ある方向へと導くような関わりは、果たして「誘導」なのか、それとも「意思決定支援」なのか。

この問いに対して、明確な答えは出ませんでした。

ただ、いくつかの視点が共有されました。

  • 人は必ずしも自分自身を十分に理解しているわけではない
  • 他者との関わりの中で、新しい自分に気づくことがある
  • 選択肢を広げること自体が支援になる可能性がある

このような視点は、「本人の意思を尊重する」という言葉を、より複雑で多層的なものとして捉え直すきっかけになるのかもしれません。支援の難しさであり、同時に支援者として向き合うところかもしれないなと思います。そして、支援とは、単純な二項対立では捉えきれない営みであることが、改めて浮かび上がってきました。

言葉にならないものを、言葉にする

今回の対話の中で、もう一つ印象的だったのは、「言語化」する力についてでした。

ある参加者は、申し込みの際に自分の思いを書き出したことで、「それだけで気持ちが整理された」と語っていました。私たちは、日々の実践の中で多くのことを感じています。しかし、その多くは言葉にならないまま、どこかに留まっているのではないかと僕は思います。

対話の中で、自分の中にあった漠然とした思いが、言葉にすることで輪郭を持ち始める。そして、その言葉が他者との対話の中で再び揺れ動き、新たな意味を持っていく。Social Good Circleでは、その「言葉にならないもの」を持ち寄ることが許されています。

Social Good Circleでは、「うまく話すこと」は求められていません。むしろ、言葉にならないままの感覚や、断片的なワードこそが大切にされています。それこそが、対話の出発点になります。

それは、問題を解決するプロセスではなく、自分自身を見つめ直すプロセスなのかもしれません。そして、そのプロセスそのものが、支援者にとってのケアになっているのではないかと感じました。

支援者もまた、支えられる存在である

ある参加者が語っていた言葉が印象に残っています。

「これはAIにはできない」

情報を整理することや正解を導き出すことについて、標準化された答えを出すこととしての条件下では、AIでもできるかもしれません。しかし、揺れや迷いを含んだ語りをそのまま受け止め、共に存在し合うことは、人と人との関係性の中でしか生まれないものだと信じています。Social Good Circleは、そのような関係性を育む場でもあります。

支援者は、支える側であると同時に、支えられる存在でもある。そのことを実感できる場であることに、Social Good Circleが存在する意味があるのではないでしょうか。

これからのSocial Good Circle

Social Good Circleは、「解決しない」ことを大切にしています。

それは、解決を否定するということではありません。むしろ、「解決しなければならない」という前提を一度手放すことで、見えてくるものがあるのではないか、という問いを持ち続けたいです。

心理的安全性が担保された場でなければ、人は本当のモヤモヤを語ることができないとも言われています。だからこそ、ここでは急がず、結論を出さず、ただ語り、ただ聴くことを大切にしています。

支援の現場において、正解は一つではありません。むしろ、個別性の連続の中で(そこからメゾ・マクロへと派生していくが)、私たちは常に揺れながら関わり続けています。

だからこそ、

  • 他者の合理性に触れること
  • 自分の前提を問い直すこと
  • 支援者としてのあり方を見つめ直すこと

その積み重ねが、支援そのものを支え、同時に支援者自身を支えていくのではないでしょうか。

最後に

モヤモヤは、なくすものではなく、対話の中で深まっていくものかもしれません。そしてそのプロセスこそが、支援者自身のケアにつながっていくのではないでしょうか。

言葉にならなくても構いません。

そのままの感覚で、またこの場でお会いできることを楽しみにしています。

Social Good Circle 開催詳細

Social Good Circleには多くの方が参加しやすいように、オンライン開催としています。仕事から帰ってきてひと段落した時間帯にすることで、ゆったりと語り合えるようにしています。以下、開催詳細をご覧ください。

開催日

  • 2026年4月30日(木)20:00〜21:30

参加方法

  • オンライン(zoom使用)

    申し込み後にPeatixより、招待メッセージが送られてきます。

参加費

  • 無料

申込方法

下記Peatixページから申し込むページへ移動します。
必要項目を入力していただき、送信後、開催に関するメールがPeatixより届きます。

申し込み後、zoomのURLや招待状が届きます。入力されるメールアドレスが間違っていると、返信メールが届かない場合がありますのでお気をつけください。返信メールが届かない場合は、お問い合わせよりご連絡くださいませ。

申込手順

STEP
チケット選択画面より、チケット枚数を選択する
枚数を選択したら「次に進む」をクリック
STEP
「主催者からの事前アンケート」入力後、「確認画面へ進む」をクリック
STEP
入力内容を確認後、「チケットを申し込む」をクリック
その後、下記の画面が表示されると手続き完了
STEP
申し込みで入力したメールアドレスに、Peatixからイベント参加のメールが届く
当日は「イベント視聴ページに移動」からzoomへ入室する

メールが届かない際は、迷惑メールフォルダに送信されている場合があります。それでも届いてない場合は、socialgoodcircle2022@gmail.comへご連絡ください。

Social Good Circleとは

Social Good Circleは「支援者のモヤモヤをダイアローグする場」としています。よって、参加者同士の上下関係もなく、全てがフラットです。日々の実践や人間関係など、モヤモヤしていることを語っていただき、聞く側は助言も否定もせず、ただただ訊くことに徹します。

もちろん訊いた後に、自らのモヤモヤを語っていただくことも大歓迎です。「今更こんなことは職場で話せない」や「誰か私のモヤモヤを訊いてほしい」など、Social Good Circleにおいては気楽に語っていただける空間になっています。

参考記事

Social Good Circleが誕生した背景や、Social Good Circleの詳しい説明は下記の記事をご覧ください。

【ご提案】職場でSocial Good Circle開催のお手伝い

Social Good Circleは「否定せず、助言せず、解決もしない」語らいの場として開催しています。このコンセプトは一見すると、対人援助の場面では否定的な意見を浴びるかもしれません。

なぜなら「モヤモヤ=困っていること」と捉えることで、「職員が困っていることを、上司及び同僚同士で解決しなければならない」との思考に対して、真逆の発想でSocial Good Circleを開催しているからです。

僕は決して、「解決しなければならない」とする思考や行動を否定したいわけではありません。必要に応じて解決を優先する場合もあると理解しています。

しかし解決を優先するがあまり、モヤモヤを抱えている職員が本当に困っていることを語れるかは疑問が残るところです。このように考えるには過去の記憶が起因しています。

僕は約6年間、病院のソーシャルワーカーとして働いていました。普段の業務とは別に個々のスキル向上やいわゆる「困難事例」に対する次の一手を模索するため、定期的に事例検討会をソーシャルワーカー同士で開催していました。

いま振り返ると事例検討会は、ギリシャのコロッセオを彷彿とさせる思いで参加していたように思えます。

要するに「戦いに挑む」という表現がわかりやすいでしょうか。雰囲気も戦々恐々としており、ミスを説明しようもんなら鬼の首を取ったような勢いで「なぜそうしたのか?」と問い詰められる。

最初は初任者として「学ばせていただく」という気持ちで挑んでいましたが、やがて心身ともに疲弊していく自分を自覚しました。心の余裕がなくなるので、ちょっとした指摘も癇に障りますし、自らも「指摘返し」のような、一種の報復に似たような振る舞いをしていたときもありました。

このような状態になると事例検討会ではなく、ただの「足の引っ張りあい」です。その場では本音を誰も話さなくなっていました。恐怖と保身でしかないからです。

そんな過去を振り返って思うことがあります。

心理的安全性が担保された空間でなければ、人は自らのモヤモヤを決して語りはしない

自らが悩んでいること、困っていること、こんなことを話して大丈夫?と思っていることも、否定されないとわかっていると人は安全性を感じるとることができ、スーと話し始めます。

「どうしたの?」「それで?」と急く必要はありません。Social Good Circleは「否定せず、助言せず」をモットーに開催しています。最初から参加者へ伝えることで、参加者同士の「ここは安全だ」という雰囲気が醸成されます。

Social Good Circleでは、実に多様性豊かなモヤモヤを訊くことができます。そしてモヤモヤの深堀りは、ソーシャルワーカーのアイデンティティを取り戻すことにもつながります。

事例検討会のように追求型のスーパービジョンは、支援者が育たないどころかパワーレスに陥り、終いには退職することも考えられます。

そうではなく、じっくりとその人のモヤモヤした語りを訊き、参加者同士でフィードバックすることで、モヤモヤを語った人は「私の話を訊いてくれた」「受け入れてくれた」とカタルシスを得ることになります。

普段、支援者として支援対象者の話を聞くことには慣れていますが、自分の話を訊いてもらうことには慣れていない支援者が多いのが現状です。

Social Good Circleはこのような「支援者の語りを訊く」ことを実践することで、先にも述べたとおり、ソーシャルワーカーのアイデンティティを取り戻す(エンパワーメントの促進)へつながります。

とはいえ、Social Good Circleを職場でやろうとすると、導入・進行・まとめといった一連の流れを、誰がどのようにするのか悩むことが考えられます。悩むうちにズルズルと流れていくことはよくある話です。そこでご提案です。

職場でSocial Good Circleが定着するまで、もしくは体験として実施する、お手伝いをさせていただきます

Social Good Circleを実際に運営している者が、ファシリテーターや運営面をサポートすることで、簡単にSocial Good Circleを職場で開催することができます。

もちろん職場の目的や規模等に応じて、運営側が関わる濃淡を調整することも可能です。まずは下記の「お問い合わせフォーム」より、ご相談いただければと思います。

お問い合わせ確認後、運営側よりご連絡させていただきます。

この「Social Good Circle」が支援者のエンパワーメントにつながること、そして多くの支援者が自分語りをすることで、一人で抱え込まなずパワーレスに陥らない環境を構築できることを願っています。

長くなりましたが、ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。

応援してもらえると嬉しいです!

この記事を書いた人

平畑隆寛のアバター 平畑隆寛 ヒラハタタカヒロ

社会福祉士事務所 FLAT代表。アパレルバイヤーから社会福祉士へジョブチェンジした風来坊を自認。普段は成年後見受任や研修講師のほか、Webライターとしても活動している。月1回開催の、相談援助職が安心してモヤモヤを語れる場「Social Good Circle」を運営し、支援者のバーンアウト予防にも取り組む。「The Salon Times」では、記者+ライター+編集長の役割。

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